母親が祝ってくれた最後の誕生日パーティー

カテゴリー: 悲しい話
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303:大人の名無しさん:2001/01/22(月) 14:50

俺が23歳の頃、就職1年目の冬、俺の誕生日の日のこと。
職場の人たちが「誕生パーティーをしてあげる!」というので、家に「今日は遅くなるよ。ゴハンいらないから。」と電話を入れたら、父が「今日はみなさんに断って、早く帰ってきなさい。」と言う。

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「だってもう会場とってもらったみたいだし、悪いから行く。」と俺が言うと、いつもは 温厚な父が「とにかく今日は帰ってきなさい、誕生日の用意もしてあるから」とねばる。
「???」と思いながら、職場のみんなに詫びを入れて帰宅した。

家にはその春から肋膜炎で療養中の母と父がいた。
食卓にはスーパーで売ってるような鶏肉のもも肉のローストしたみたいなやつとショートケーキがあった。

わざわざ職場の誘いを断わって帰ってきたのに、その質素な感じに頭にきて「なんでわざわざ帰らせたの!俺だってみんなの手前申し訳なかったよ!」と言ってしまった。
父は何か言ったと思うが、覚えていない。母が「ごめんね。明日でもよかったね。」と涙ぐんだ。

俺は言い過ぎたな、と思った。
でもあやまれず、もくもくと冷えた鶏肉とケーキを食べて部屋に戻った。
その2ヶ月後、母の容態が急変し入院した。仕事帰りに病院に行くと、父がいた。
廊下の隅で「実は お母さんは春からガンの末期だとわかっていたんだよ。隠していてごめん」と告げられた。

呆然として家に帰ったあと、母の部屋の引き出しの日記を読んだ。
あの誕生日の日のページに

「○男に迷惑をかけてしまった。」

とあった。
声を出して泣いた。何時間も「ごめん」といいながら泣いた。夜が明ける頃には涙が出なくなった。すごい耳鳴りがした。

4、5日して母は死んだ。
仕事をやめて、看病していた父も数年前に死んだ。
父が準備したささやかな誕生日パーティーをどうして感謝できなかったのか、母にとっては最後だったのに

みんなの反応

1:面白い名無し:2013/10/08 2:14:21

胸が痛くなるね

2:面白い名無し:2013/11/25 0:14:09

悲しすぎる(´;ω;`)

3:ナイス:2013/12/09 7:33:59

母親には素直になれない…世界一愛してるのに

4:面白い名無し:2013/12/18 22:53:59

感動できるね(涙)

5:スタビライザー:2015/04/11 21:43:45

( ;o;)

6:みぃ:2015/04/30 12:55:36

切ない( ; ; )

7:なたでなたで:2022/07/21 11:28:43

ありがとう

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