母が勤め先からもらってきた2枚のプロ野球チケット
350:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/30(土) 23:32:03.40 ID:o9XZMYH30
幼い頃に父が亡くなり、母は再婚もせずに俺を育ててくれた。学もなく、技術もなかった母は、個人商店の手伝いみたいな仕事で生計を立てていた。
それでも当時住んでいた土地は、まだ人情が残っていたので、何とか母子二人で質素に暮らしていけた。
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娯楽をする余裕なんてなく、日曜日は母の手作りの弁当を持って、近所の河原とかに遊びに行っていた。
給料をもらった次の日曜日には、クリームパンとコーラを買ってくれた。
ある日、母が勤め先からプロ野球のチケットを2枚もらってきた。
俺は生まれて初めてのプロ野球観戦に興奮し、母はいつもより少しだけ豪華な弁当を作ってくれた。
野球場に着き、チケットを見せて入ろうとすると、係員に止められた。
母がもらったのは招待券ではなく優待券だった。
チケット売り場で一人1000円ずつ払ってチケットを買わなければいけないと言われ、
帰りの電車賃くらいしか持っていなかった俺たちは、外のベンチで弁当を食べて帰った。
電車の中で無言の母に「楽しかったよ」と言ったら、
母は「母ちゃん、バカでごめんね」と言って涙を少しこぼした。
俺は母につらい思いをさせた貧乏と無学がとことん嫌になって、一生懸命に勉強した。
新聞奨学生として大学まで進み、いっぱしの社会人になった。結婚もして、母に孫を見せてやることもできた。
そんな母が去年の暮れに亡くなった。
死ぬ前に一度だけ目を覚まし、思い出したように「野球、ごめんね」と言った。
俺は「楽しかったよ」と言おうとしたが、最後まで声にならなかった。
みんなの反応
2:おもしろい名無し:2013/11/25 0:35:26
何回読んでも泣ける話です。
3:面白い名無し:2013/12/08 0:12:14
ヤバい、マジで泣きそう
4:ロッピー:2014/06/28 0:35:23
マジで泣ける。子どもでも気をつかっているのがわかります。「楽しかったよ」と言っているところがすごい貴方の優しさが伝わってきます。
5:面白い名無し:2016/09/19 8:12:22
弘兼憲史の人間交差点。
要望があったのでコメント欄にトリップ機能をつけてみました。詳細はこちら。
1:りこ:2013/09/02 9:10:31
とても切ないけど良い話。
お母さんの気持ちが痛いほど良くわかる。この話すごく好きです。何年たってもお母さんの心に引っ掛かっていたんだ。
このお母さんも素晴らしいし息子さんもまた、母の苦労をみて頑張った。まっすぐに立派な大人に育った息子さんをお母さんも誇らしかったでしょうね(∪▽∪)