'."\n" ?> ゲーセンで出会った不思議な子の話:長編の話

ゲーセンで出会った不思議な子の話

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『>>○○』は○○番の発言に対する返答


1 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 03:43:40.34 ID:WuLtuWlB0

俺: 大学生、さえない男
たまの休みや講義の空きにゲーセンに行って格ゲーをやるのが好きだった
そこであった話を、ちょっと書かせて欲しい

2 :名も無き被検体774号+: 2012/01/15(日) 03:43:58.79 ID:h1w7AQ2J0

聞くぞ

5 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 03:45:18.42 ID:WuLtuWlB0

俺はといえば、大のゲーセン好きだった。
格ゲーにアケカードゲーに音ゲ、割となんでもやってた。

というより、そのゲーセン独特の雰囲気が大好きだったんだ。

6 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 03:47:32.27 ID:WuLtuWlB0

俺は趣味といえば絵を描くくらいで、大学でもなんのサークルにも入っていない。
だから学部に何人か友人はいるけれど、基本休みはひとり。

だからこそゲーセンに惚れ込んでた。
ゲームをしてれば顔なじみはできるし、言葉は悪いけど、ゲーセンに行くと
「あ。俺みたいなダメな人はたくさんいるんだ…」的な居心地の良さがあった。

8 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 03:50:03.74 ID:WuLtuWlB0

基本、ゲーセンで顔見知り程度の知り合いができるのは珍しいことではない。
毎回同じとこに行って同じようなゲームをやっていれば、顔を覚える。

ゲーセンでできた友達ってのも何人かいた。
ゲーセンってのは多分皆が考えてるよりは健全で、いい場所だと思う。

9 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 03:52:10.67 ID:WuLtuWlB0

俺はその日も講義が半日だったので、
午後から意気揚々といつもどおりゲーセンに向かったんだ。
あのワクワク感がいい。

今日は何すっかなーなんて迷いつつ俺はスーパーストリートファイター4を始めた。
平日とは言え、たまたま猛者が一人いて負けがこんでイライラした。

10 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 03:55:04.36 ID:WuLtuWlB0

その日は、もうスパ4はいっか…ってなって、ブレイブルーかLOVをやろうと思った。
LOVってのは、スクエニのアーケードのカードゲームでハマるとなかなか面白い。

でも金がかさむからあまりやらないんだけど、その日はやろうって決めた。
俺は筐体に座って、しばらくそのゲームのプレイに興じていた。

11 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 03:57:31.22 ID:WuLtuWlB0

珍しく勝ちが続いた。そんなに得意なゲームじゃないんだが。
すると、俺の隣の筐体に女の子が座った。

LOVの人口的にも、ゲーセンでなかなか女性プレイヤーに出会うことはないから、ちょっと驚きつつも、
「まあ別におかしいことはないよな」って思いつつ俺はゲームを続けていた。

13 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 04:00:58.11 ID:WuLtuWlB0

自分のゲームが一段落すると、俺は隣の女の子の方を見てみた。

キャスケット帽?っていうのかな、を深々かぶってて顔はよく見えなかった。
俺は「面白い子だなー」なんて思った。
そして、こういうとこで趣味の合う子とか身近でいたらいいだろうに…
と半ば妄想していた。

14 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 04:03:44.51 ID:WuLtuWlB0

しかし、彼女は負けると独り言を言い出した。
「今のはだめかー…」「う~んなんでだろう」
はたから見るとちょっと変な人なんだけど、俺はなんだか彼女のことが気になりだした。

どういう気持ちで俺がそうなったのかは分からないが…

16 :名も無き被検体774号+: 2012/01/15(日) 04:05:05.76 ID:pwhcoRzJ0

俺もそういう子には惹かれてしまうwww

17 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 04:06:19.18 ID:WuLtuWlB0

俺も最初は「まわりに聞こえるくらい独り言とか…ちょっとな…」
って思って印象は最悪だった。けどなんか気になった。

そうすると彼女は早々とLOVから引き上げてスーパーストリートファイター4をやりに行ったので
俺は気になりついていって彼女の試合を観戦してみる事にした

18 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 04:09:07.18 ID:WuLtuWlB0

彼女が使ったキャラはさくら。
そしてなかなかに強い。PP3000くらいはありそう。
なんだろ、このへん知らない人は分かり辛いかもしれないけど、普通に俺より遙かに上手かったんだよね。

俺は驚いて、「ほぉー…」と思ってじっと対戦する彼女を見つめていた。

19 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 04:11:44.48 ID:WuLtuWlB0

俺も見ていたせいか、数人の人だかりができて、彼女がコンボを決めると
「お、おお…」みたいなしょぼい歓声みたいのがあがるようになってたw

なんだろ、その時の彼女はすごく輝いて見えていたよ。
でも彼女はこのあと予想外の行動をとるんだよね…

21 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 04:13:59.08 ID:WuLtuWlB0

さっき俺をボコボコにしたであろう、猛者プレイヤーと彼女が当たって、
彼女なら勝てるかも…と思ったけど負けちゃったんだよ。
けっこう惜しかったんだけど。

俺も「あー残念…」くらいに思って見てたんだけど
彼女は顔を真っ赤にして明らかに泣いてたんだよね。
声はゲーセンだから聞こえないけど。

俺は唖然とした。

24 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 04:16:31.98 ID:WuLtuWlB0

彼女はこの時キャスケット帽をとったんだけど、ショートヘアで顔真っ赤。
明らかに泣いた状態で店外の喫煙所とかありそうな方向に出ていったから
俺もなぜか無心で追いかけていた。

なんで追いかけてしまったのかが謎なんだけど。

26 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 04:20:04.10 ID:WuLtuWlB0

店の端の割と静かな喫煙所っぽいところに彼女はいた。
目を真っ赤にしていた。
というか、キャスケット帽かぶり直してたけど、顔が好みで困った。
多分一般的には可愛いって言われないタイプだと思うけど、俺はドキっとした。

俺は喫煙者だし、煙草を吸うふりをして、彼女に話しかけようと思った。

さっきは、惜しかったですね…。

29 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 04:23:11.20 ID:WuLtuWlB0

ふてくされてるかと思ったが、そんなことはなかった。
にっこり笑うと、
「あぁ、見てたんですか、恥ずかしいです。
わたしああいうとこだとつい必死になっちゃって…」
と笑いながら話してくれたのには驚いた。

恐らく、ゲーセンにいるって段階で、初対面の会話の壁ってのが数段なくなってるんだと思う。
お互いにゲーム好きだと分かってるし、ここで自然な会話が生まれたのはゲーセンだったからだと思う。

30 :名も無き被検体774号+: 2012/01/15(日) 04:23:52.59 ID:F0WtCt+K0

続きが気になる話だ、、。

32 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 04:25:42.75 ID:WuLtuWlB0

そうすると彼女は面白そうに、
「煙草一本くれません?」と言ってきた。
俺「え、あ、吸うんですか?」
「吸わないけど、なんか見てたら…なんか」

この時点で薄々分かってたんだけど、彼女は天然か変な人かよくワカラン人のいずれかだったw

33 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 04:29:39.57 ID:WuLtuWlB0

しかし俺はといえば、大学生活サークルなし、青春なし、家に帰れば絵かきに身を費やす
という生活を送っていたため、女の子と話すこと事態稀も稀で、舞い上がってた。

俺「じゃ、吸います?wキャスターってんですけど…ちょっと甘いかもですw」
「ありがとございます~!すぅぅ…ゴホ!ゲホ!なにこれ苦しい…」
案の定涙目になっていた。

よろしくないことではあるが、俺はもうその時、なんなんだこの人すごく面白いし可愛いって気持ちに取り憑かれていた。

34 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 04:32:48.24 ID:WuLtuWlB0

煙草が初めてってことは…そんなに悪いかんじの子ではない。
まあ見た目からしてそうではあったが。

あと、なんか知らないけどやたらと笑う。
そこで数分格ゲー談義をしていたんだけど、すごく笑うんだ。
女の子ってこんなに笑うの?というか笑った女の子ってすごい。

そもそもこんな誰とも話せたことのない格ゲーの話を、今ここで、初対面の女性としているということが一番信じられなかった。

35 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 04:36:20.85 ID:WuLtuWlB0

なんだかすごい打ち解けてしまって、あの喫煙所で一体何分話したろう。
そうなってくると、男としては「連絡先知りたい」という欲望が出てきしまう。

20~30分話した時くらいだったか趣味の話になってて俺が言ったんだよ。
「ちょっとね、イラストを描くのが好きで…」
ゲーセンにいた子だし、こういうことにもちょっとは興味を示してくれるんじゃないか、なんて淡い想いもあったわけだが…
「イラスト?」
笑顔いっぱいだった女の子が急に、すごく暗い顔になった。
「ま…その話はいいよ…」
「それじゃ、また…ゲーセンで会えたらいいね…」

38 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 04:39:45.17 ID:WuLtuWlB0

予想外だった。
連絡先どころか、ほぼ喧嘩別れクラスの雰囲気の悪さで別れてしまった。
イラスト、、ちょっとくらいはテンション上がって話が膨らむかなと思ったんだけど…

もしかしたら、そういうのが嫌いな人だったのかもしれない、そう思って俺は落胆した。

「一体あの子は何だったんだろう…?」
キャスケット帽が似合ってたのは覚えてる。
でもそんな風貌でゲーセン来るなんて…
俺はすごい気になった。

41 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 04:44:14.53 ID:WuLtuWlB0

いかんせん、俺が人間として少しでも甲斐性を見せるにはイラストしかなかった。
だって、それしかしてなかった…

それから数日経って、俺は再びゲーセンを訪れた。
彼女はまた居た。
その日はLOVをやっていた。その日はなぜかベレー帽。
でもそれも似合っていて、可愛かった。

相変わらず不思議な人だなあ…と思いつつ、俺もおもむろに近くでLOVをプレイし始めた。

42 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 04:46:24.84 ID:WuLtuWlB0

この時、様々な疑問が浮かぶ。

今日は平日だぞ。
俺は講義半日だからいるが。
彼女はなんなんだ?
大学生?フリーター?

同い年くらいに見えるけど…
というか名前も知らないし。

悶々として、ゲームに集中できない。

43 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 04:48:02.92 ID:WuLtuWlB0

LOVの彼女の称号レベルをチラ見する。
やはり、俺よりやりこんでいる。
そして勝率も高い。明らかに俺より上級プレーヤー。

そして勝つと、「やったね~!」と声を上げる。
相変わらずの奇人っぷりを発揮していらっしゃる。

44 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 04:50:19.69 ID:WuLtuWlB0

ゲームが終わったところで、俺は肩を叩いて、ども、と会釈する。
「あ、来てたんだね~。ジュース買おうぜ~」
などと言い出す。もはやキャラが分からない。

馴れ馴れしいし、本当に素の時は変な人なんだ。なんなんだこの人。
ますます気になる。

46 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 04:54:44.74 ID:WuLtuWlB0

自販機前で、
俺「あ…この前はなんか…すいませんでした」
すると彼女は何が?ときょとんとした顔になった。

俺「ほら…イラストとか言ったら…」
彼女「あ~、あのことはね、ちょっと…」
彼女「私もね~描いてたんだよ、ついこないだまでね!」

俺「絵を描くの好きなんですか?」
俺がテンション上げて言うと、にっこり笑って、
「好きだったんだよ。今は描いてない。」
俺「どうして…ですか?ってかアナタって今日も平日ですけど…大学生さんとか…ですか?」
彼女「ちょっと違うかな」

49 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 04:57:42.98 ID:WuLtuWlB0

彼女「わたしは美大だよ、だから大学生だけど、今はなんというか…」
俺「ええ!美大って…すごいですね…雲の上の人だ…」
彼女「…今は思い出を見に来てるというか」
俺「はい?」
彼女「ここっていい所でしょ」
俺「ゲーセンに…ですか?思い出?;」

52 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 05:01:32.10 ID:WuLtuWlB0

彼女は次第に俺が年下だと気付いて、口調は変わっていた。
俺「え、そりゃどういう…」
彼女「ま、さ!」
いきなり大声を出す。

彼女「一回で知りたいこと全部知れるほど、簡単じゃないよ~」
といってゲームにもどろうとする。
俺「え、そんな…また次もゲーセンに来てくれますよね!?」
彼女「くるくる~まだ浸りたいから」

彼女の言葉はひっかかることだらけだった。
思い出?
その時の俺にはまったく理解ができなかった。

そして美大生。ますます俺は彼女の虜になってしまった。

54 :名も無き被検体774号+: 2012/01/15(日) 05:03:13.70 ID:dei2nTng0

実に興味深い

57 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 05:04:27.26 ID:WuLtuWlB0

自分にない何かを持ってる人。
よく分からなくて、自分を振り回す人。
きっと俺はそういう人に弱かったんだ。

もともと大好きで通っていたゲーセン、それからは毎日違うときめきで通うことになる。
今日はいるか?明日はいるか?
もちろんいつも会えることはなく、会えない日のほうが多かった。
もしかしたらもう2度と会えないんじゃないか…
そんな風に思うこともあった。

68 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 05:41:52.29 ID:WuLtuWlB0

何日か通っていると、彼女は再びゲーセンに現れた。
またベレー帽を被ってたんだけど、いつもと様子が違った。

服が作業着っぽいのか、インクやアクリルがついてて、靴にいたっては絵の具だらけに汚れていた。
LOVをする手も、絵の具で汚れているようだった。

69 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 05:43:25.66 ID:WuLtuWlB0

俺はもうときめいちゃって、ワクワクして話しかけた。
「こんにちは~」
彼女「うん…」

いやにテンションが低かった。
明らかに何かあった感じではあった。
でもまあいつも変な感じではあるんだけど、その日はなんか、落ち込んでいた。

70 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 05:45:14.38 ID:WuLtuWlB0

ゲームに負けても独り言言わない。
ただ黙ってひたすら…
その横顔が自分とは違うちょっと大人に見えた。

俺「一戦終わったら、休憩しませんか?ね。」
彼女「そ、そのとおりであるね~」

やはり変ではあるが。

71 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 05:47:42.66 ID:WuLtuWlB0

俺「今日は大学で絵でも描いてきたんですか?」
彼女「いや…大学はもう卒業間近だし、関係ないね~」
俺「あ、そういえば美大って…!どこに就職するんですか?」
おれは無邪気な期待で聞いただけだった。

彼女「……。」

72 :名も無き被検体774号+: 2012/01/15(日) 05:47:52.41 ID:qmWG/f1j0

>>1よ、こおいう女に嵌まると疲れるぞ・・・って、もお遅いなw

73 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 05:49:41.35 ID:WuLtuWlB0

>>72
なんだろう、
自分にない何かを持ってる女性ってとっても魅力的に見えたんだよね…

75 :名も無き被検体774号+: 2012/01/15(日) 05:52:44.65 ID:qmWG/f1j0

>>73
分からんでもない。
反省はしても、後悔のないように頑張れ!
応援してるぞ