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328 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/15(日) 23:58:58.77 ID:WuLtuWlB0
ある日、いつものように病室に向かうと、やたらテンションの高い彼女がいた。
彼女「ねえねえ、聞いてよ聞いてよ!」
俺「あらら、元気だね。どうしたの?」
彼女「外泊許可がもらえたよ!五日間!」
俺「本当に!?」
彼女「嬉しいなあ。2日間はおうちに帰るけど、わたし三日間は富澤といるよ!」
俺「本当に!?」
333 :名も無き被検体774号+: 2012/01/16(月) 00:06:45.76 ID:mPJ/ueGA0
外泊出るといよいよやばい予感
336 :名も無き被検体774号+: 2012/01/16(月) 00:16:45.18 ID:WdAtM8AuO
ああ、聞きたいけど聞きたくない・・・
341 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 00:21:28.68 ID:x9+/iUde0
彼女「デート行きたい!デート!」
俺「いいね、いこういこう。」
彼女「ゲーセン行こうよ、ゲーセン!」
こんなに元気で明るい彼女を見るのは久しぶりだったので、俺はすごく嬉しかった。
どうにか彼女をたくさん楽しませてあげたい、そういう風に思った。
345 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 00:24:34.16 ID:x9+/iUde0
二人で、三日間何をするか考えふけった。
彼女はゲーセンに行きたくて、俺と普通のデートが一度してみたかったのだという。
そして、俺の生まれ育った街が見たいということで、俺の実家に来たいということ。
この二つだった。
彼女は多くを望まなかったし、贅沢も言わなかった。
「何か欲しいものとかないの?」と聞いても「ただ一緒にいたい」と言うだけだった。
346 :名も無き被検体774号+: 2012/01/16(月) 00:24:41.50 ID:aS8Wbu6T0
涙やばい
彼女可愛すぎだろ…
353 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 00:32:55.02 ID:x9+/iUde0
もしかしたら、最初で最後のデートになるかもしれない。
俺は覚悟していた。
この、外に出られる、普通に過ごせる三日間で彼女を最高に笑わせたいと思った。
俺は色々考えた。プレゼントを買うために、貯金を下ろした。
何を買うか迷ったが、COACHの帽子をあげることにした。
彼女はCOACHが好きで(と言っても財布しか使っていなかった)、きっと帽子なら喜んでくれると踏んだ。
354 :名も無き被検体774号+: 2012/01/16(月) 00:35:48.86 ID:VKbWOZLNO
淡くてせつなくて、いい話なんだけど、つらい
359 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 00:37:42.57 ID:x9+/iUde0
当日まで、ドキドキとした。何をどうすりゃいいのか。
彼女にデート初日でやりたいことを聞いた。
彼女「ゲーセンに行って、そのへんフラフラするー」
俺「え、そんなんでいいん?」
彼女「特別にどっか行くより、そっちの方が普通のデートっぽくていいじゃん」
彼女「学校帰りに一緒に帰るくらいの日常さで、いいんだよ」
彼女はにこにこしてそう言う。
彼女が望むのなら、俺もあまり気張りすぎないようにしようと思った。
360 :名も無き被検体774号+: 2012/01/16(月) 00:39:50.77 ID:cOF2U+4D0
3日ってのがまたなんかな・・・
364 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 00:58:49.39 ID:x9+/iUde0
その日が迫るごとにあたふたした。
実家に、女の子連れてくよって電話した。病気のことは伏せた。
前日に、意気揚々とCOACHの帽子を買いにいったが、あいにく売っていなかった。
彼女が一番好きなブランドはCOACHだった。COACHで帽子が欲しかったのに…
俺「あの…帽子が欲しいんですが…COACHのニット帽、被ってる人見たことあるんです」
店員「もうしわけございません…それはこちらの店頭では…」
あきらめられなかった。
俺は店内を見ていると、ハートの可愛いネックレスを見つけた。3万くらいした。
帽子を買うつもりでそんなに金は使うつもりではなかった。
でも俺はそのネックレスを買った。
しかし、この選択は正解だった。
366 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 01:03:08.02 ID:x9+/iUde0
いよいよその日になる。
俺はリュックにプレゼントを忍ばせて、いつ渡すか決めかねていた。
お父さんとお母さんに挨拶した。
お父さんは優しそうに笑っていた。
「よろしく、頼むね。」
俺「はい、彼女のことは、任せてください。」
彼女「じゃーね、いってくる!」
俺もニヤニヤしていたけど、彼女も始終にこにこしていた。
楽しい、忘れられない三日間が始まる。
370 :名も無き被検体774号+: 2012/01/16(月) 01:07:42.40 ID:i05ow9F0i
まだ途中なのに…まだ結末わかんないのに…それなのに涙が…
371 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 01:07:50.15 ID:x9+/iUde0
正直不安もいっぱいだった。
突然体調が変わったら?彼女に何かあったら?
でも彼女は俺のこと信頼して、全てを俺に預けてくれたんだろう。
もしもの時のために病院の番号もメモったし、お父さんとお母さんの番号も分かってる。
きっと、どうにかなる。とにかく彼女といられる時間を大事にしようと思った。
373 :名も無き被検体774号+: 2012/01/16(月) 01:11:52.62 ID:WdAtM8AuO
このスレに会えて良かった(;ω;`)今を生きられるって素晴らしいことだな
374 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 01:12:32.33 ID:x9+/iUde0
彼女「電車のろ!電車電車!」
俺「え、タクシーとかでもいいんだよ?」
彼女「そんなんセレブなデートないよw」
俺「まあこの時間なら人も少ないしね。電車に乗ろうか。」
駅に着く。彼女は大声を出す。
彼女「わわ、電車だよ電車!いいなあ懐かしいなあ!」
俺「なんだかいいね、こういうの。すごい不思議な感じ、至って普通なのにw」
ずっと、病室でしか会えなかったものだから、色々と新鮮に映った。
電車に乗っただけで、なんだかとても嬉しかった。
378 :名も無き被検体774号+: 2012/01/16(月) 01:13:53.11 ID:HbZ8ThR6i
生きたいっておもうやつがあっさり死んで
死にたいってやつがしぶとく生きる
世の中理不尽だよね…
379 :名も無き被検体774号+: 2012/01/16(月) 01:15:43.68 ID:9WSRwcRW0
>>378
そうだな
383 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 01:18:29.16 ID:x9+/iUde0
電車ではしゃぐ彼女はどこかヘンテコだったけど、どう見ても普通の女の子にしか見えなかった。
この小さい体に、色んなものを抱えてると思うと、悔しかった。
電車内には同じような年齢の女性もたくさんいて、それを見てると複雑な気持ちになった。
俺「どこいこっか?」
彼女「あ、決めてないのー?もうしっかりしてよー」
俺「ええ、ノープランでいいって言ってなかった?」
彼女「嘘でしたー!言ってみたかっただけこういう事w」
彼女は笑いながら言った。
393 :名も無き被検体774号+: 2012/01/16(月) 01:27:15.00 ID:XGGTHlAj0
花言葉調べて泣いた
読み物で初めて泣いた
402 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 01:37:44.19 ID:x9+/iUde0
彼女は電車の中でも突拍子もないことを言い出す。
彼女「ねえねえ、ケンカしよ!」
俺「え、は?」
彼女「もう、ふざけないでよ!」
俺「どゆことwww」
彼女「失礼しましたw」
ケンカをするはずがすぐ漫才みたいになってしまって、二人で笑い転げた。
俺は彼女が何を求めているのか、なんとなく分かっていた。
406 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 01:42:09.14 ID:x9+/iUde0
花言葉が気になるけど、続けますw
彼女は自由だった。そう、彼女はこういう人だったんだよ。
俺は凄く安心していた。
けっこう電車に乗って、とりあえず新宿で降りた。
彼女「あ、そだ。ゲーセンでも行かない?」
俺「それ最初から決めてたんじゃんww」
彼女「ま、そうなんだけどww」
彼女のワールドになりつつあった。
俺はすごく懐かしい気持ちになった。
会ったばかりの頃を、思い出すようだった。
412 :名も無き被検体774号: 2012/01/16(月) 01:51:27.49 ID:txRiV3MN0
花言葉は終わるまで見ないと決めた
408 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 01:46:53.52 ID:x9+/iUde0
ゲーセンに着くやいなや、彼女はテンションだだ上がり。
彼女「大きい!すごい!この雰囲気懐かしい!」
俺「初めてだけど、すごいなー。格ゲーとかも猛者がいそうだ。」
彼女「デッキ組んだんだよデッキ!まずLOVね!」
もう大はしゃぎの彼女を見ていると、こっちも楽しくて仕方がなかった。
413 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 01:51:51.18 ID:x9+/iUde0
俺たちはまあ、アケゲーオタだから、
ここに会話の内容書いてもあれかもしれないけどw
彼女「わだリバデッキ作ったんだー!ゲート閉じちゃうよゲート!」
俺「いや、させない!俺のムーブでそんなものは…」
ま、分かる人だけ分かってくださいw
こんなこと言い合いながら、それは楽しくプレイしていたわけです。
414 :名も無き被検体774号+: 2012/01/16(月) 01:53:31.33 ID:yO0Vd0vqI
人生って、悲しみと喜び、涙と笑い、表裏一体。
痛みこそ分かり合える人としての価値観を伝えてくれる。
415 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 01:56:22.85 ID:x9+/iUde0
そのあとはひと通り色々まわる。
彼女がポップンやりたいと言えばやり、太鼓叩きたいと言えば、叩き。
そのあと二人で格ゲー武者修業と名づけ、すいていたので勝てない相手にコンビを組んで挑み続けたりw
友達とやったら盛り上がった試しのないQMAというゲームでも、二人でハイタッチしながら嘘のように盛り上がったり。
とりあえず、俺達にとってゲーセンというのはこの上なく楽しいスポットだった。
416 :名も無き被検体774号+: 2012/01/16(月) 01:58:00.14 ID:fmtyDkWmi
言ってみたかった
やってみたかった
後悔しないようにわがままでも何でも出来る事はしておきたかったんだな
418 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 02:00:08.84 ID:x9+/iUde0
そんなことをしているうちにあっという間にお昼を回っていた。
俺「そろそろ引き上げようかー」
彼女「すごい楽しかったー!」
彼女は本当に満足しているようだったので、俺は安心した。
かくいう俺も本当に楽しかった。
俺「お昼どうしたい?」
彼女「マックがいいなぁー」
俺「え、そんなもんでいいの?」
彼女「わたし携帯のクーポンあるからねー!」
426 :名も無き被検体774号+: 2012/01/16(月) 02:03:43.15 ID:SEuKli0k0
やばい涙腺が…
まだ途中なのに
429 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 02:06:45.07 ID:x9+/iUde0
彼女は本当になんてことない日常の時間を過ごしたいってのはもう分かっていた。
彼女「わたしはねー、てりやきかなw懐かしいな~」
カウンターで楽しそうに選ぶ。
俺「じゃあ俺はベーコンレタスでww」
彼女「シェイク飲もうよシェイク!」
はしゃいでる彼女を見るのは楽しかった。
何をしていても、本当に楽しそうにしていた。
436 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 02:12:29.06 ID:x9+/iUde0
席に着く。一息つく。
彼女「マックこんなに美味しかったかなあw」
俺「久々に食うと美味いんだよねえ」
彼女「わたしはポテトを欲しているよ」
俺「あるよ?」
彼女「ちがうよ、ほら」
彼女は口を開けて促す。正直、アホである。
そして、俺が口にポテトを入れてあげると、食べながら
「10点~!」
などと意味の分からない事を言い出す。
俺もこれをやらされるハメになって、二人してマックでアホなことをしていたw
でも、楽しかった。
441 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 02:15:51.50 ID:x9+/iUde0
今思えば、俺は彼女のこういうところに惹かれていた。
一緒にいると、なんでも面白く思えて、笑いが絶えない。
時々本当にあほらしいことを言っては、笑顔になる。
それがすごく心地良かった。
437 :名も無き被検体774号: 2012/01/16(月) 02:14:26.24 ID:txRiV3MN0
普通が一番幸せだって。
これ見てると痛いぐらい分かる
563 :名も無き被検体774号+: 2012/01/16(月) 18:16:14.90 ID:cOF2U+4D0
ポテトの下りは、ポッキーみたいに口にくわえた状態で
待機してればよかったんじゃないかな?www
565 :名も無き被検体774号+: 2012/01/16(月) 18:19:57.14 ID:CCqLDcq10
>>563
多分それだと70点
かみ砕いて口移しで100点だなw
566 :名も無き被検体774号+: 2012/01/16(月) 18:20:07.75 ID:ykns6fMs0
毎日頑張ってる旦那においしいごはん作ったげようと思う
普通が一番幸せなんだな
580 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 18:52:37.56 ID:x9+/iUde0
マックでの俺達は年甲斐もなくはしゃいでいた。
まわりに高校生やら大学生も多くいたと思うけど、その子ら以上に大笑いしていた。
彼女「ねえ、煙草吸ってイイよ」
俺「え、どうして?」
普段、彼女の前では絶対煙草を吸うことはなかった。というか不可能だった。
その時は喫煙席に座っていた。
俺「くさいよ?」
彼女「いいの」
言われるままに一服した。
彼女は黙って眺めていた。
585 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 18:56:42.07 ID:x9+/iUde0
案の定、
彼女「ごほっ、くっせーね。」
俺「だから言ったじゃーんw」
彼女はそう言ったものの、にこにこしているだけだった。
俺も、なんだか照れくさくなりながら、一服。
そうしていると、俺の携帯にメールが来た。
591 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 19:00:54.78 ID:x9+/iUde0
妹からだった。
俺には一つ年下の妹がいる。
内容の趣旨としては、
「兄貴今日女の子連れてくるんだって?期待しとるわw」
みたいな感じだった。
おちょくっていやがる。
基本仲悪くもなく、実家に帰れば一緒にゲームしたりもするし、なにぶん妹自体も少しオタクなので、気が合う兄妹ではある。
594 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 19:08:08.03 ID:x9+/iUde0
俺「午後からどうしよっか。電車の時間までは、けっこうあるんだよね。」
彼女「買い物行きたい!本屋さん行こ!」
598 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 19:14:21.73 ID:x9+/iUde0
入院生活も長いわけだし、きっと欲しい本とかもいっぱいあるんだろう。
そして書店に赴く。
彼女「ひれーっ!」
俺「俺も初めて来たけど大きいね…」
彼女はコミックコーナーに駆け出す。
そしてずーっと俺の手を引っ張って、
「これ、〇〇さんの本、すごく好きなんだ~
あ、〇〇さんの漫画、これは作画綺麗で…」
という風に喋り疲れるんじゃないかって思うくらい話す。
俺「大抵本屋とか一人で来るけど、一緒に来ると好きな本のこととか話せて楽しいね。」
601 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 19:19:56.77 ID:x9+/iUde0
俺自身、正直にそう思った。
俺も普段から本屋巡りとかが好きで、好きな絵柄の作家さんとか見つけたりするのが好きだった。
でも一人だとどこか寂しい部分もあった。
それを彼女と共有するのは楽しかった。
彼女「でしょー実はこういうとこに二人で来てみたかったんだよね…」
彼女は照れくさそうに言った。
彼女がどうして普通のデートがよかったのか、なんとなく分かったような気がした。
606 :1 ◆WiJOfOqXmc: 2012/01/16(月) 19:28:15.36 ID:x9+/iUde0
俺たちは、笑うときもそうだけど、お互い語りだすと止まらない。
格ゲー談義をするときもそうなんだけど、どのプレイヤーが強いかとか、そういうことを夢中になって語る。
彼女は、俺のオススメの本を教えて欲しいというので、俺も彼女に負けじと語った。
言っても言っても、「他は?」「全部知りたい」と言って聞かないのでキリがなかった。
彼女「富澤オススメの本、全部読みたいな…」
俺「よし、今度持って行ってあげるね。」
彼女「そんなー悪いよー」
俺「ほんとは?」
彼女「待ってました…w」
彼女は苦笑いと共に本音を漏らした。
621 :名も無き被検体774号+: 2012/01/16(月) 19:53:33.05 ID:diXg8QK80
告白とか無くてもいい感じ
623 :名も無き被検体774号+: 2012/01/16(月) 19:54:56.68 ID:rsE5PANx0
>>621
だな
磁石が自然に引き合うような感じ